くらーい表情の営業マンAさん

ある会社で実施した「上司&部下ガチ対話プログラム(仮称)」にてこんなことがありました。

このプログラムには
営業の上司ー部下7組14人が参加。
上司ー部下で「ガチ対話」を繰り返しながら、自分とチームの理想の姿を描き、
そこに向かって二人で試行錯誤しながら数ヶ月間進めていく内容になっています。

参加者の中である営業マンAさんとその上司Bさんのペアがとても気になっていました。

Aさんはこの部署に異動して間もない状態。
大きな得意先を任されて、知識もスキルも追いついておらず、自信もなく、
頭のことは研修よりも仕事でいっぱい、「仕事で忙しいのに・・・」という表情で
なかなか本音を話せず、くらーい顔をしていました。

このペア、どうなるのか、ちょっと注目をして見ていました。

「あなたがこんなチームならがんばれる」というチームはどんなチーム?

「あなたが、こんなチームなら私はがんばれる、というチームを
過去の経験、ドラマ・マンガなど、なんでもいいので具体的に思い出して、話してみてください。」

と私が言うと、

Aさん、はじめは浮かばない様子でしたが、少しすると入社当時の部署での経験を少しだけ楽しそうに語り始めました。

「大きな敵に向かって戦いを挑むチームが好きです。」
(私:大きな敵ね。)

「パワハラ上司のもとで、メンバーが一致団結していました。」
(私:大きな敵って・・・パワハラ上司?)

「数字を最終日になんとしてもやりきるのが楽しかったです。」
(私:なるほど。この部署はそういう仕事のやり方じゃないような・・)

上司の顔色が気になりつつ、一方の上司。

「今や答えのない世界。
 やれ、と言われたことをやりきるのではなく、自ら新しいことに挑戦する、
 自分の役割は自分で決める。自分でやることは自分で決める。

 過去、そんなチームを作った時が、すごく達成感があった。」

全然違う二人。これ・・収束するのでしょうか・・・?

今の仕事で嫌なこと・許せないことの想いが爆発

少し二人の話を聞いていて、私が切り込みました。

「Aさん!私が今思っちゃったことをお伝えしますね。

 今までは、パワハラ上司とか月末の数字とか
 「外から与えられた大きなもの」に向かっていくことにやりがいを感じられていましたよね。
 それはすごくいい経験だったと思います。

 一方で、この部署では
 Aさん自身が、自分で、向かっていくものを決める。
 自分のモチベーションは自分でつくる。
 そのことが、求められているんじゃないですか?

 その大きなものを考えてみませんか?」

Aさんの顔色が「あ。」って感じで変わりました。上司もうなづいています。

そしてこんなセリフが。
Aさん
「はい、確かにそうですね。でも、実は・・・

今の得意先が好きになれない、いや、嫌いなんです!!!!

出た!本音!
じょじょじょじょ上司はどう反応するだろうか?ドキドキ。
もしも私が、以前の会社でこんなこと言ったら、絶対に許されるはずがなく、
「お客様のことを悪くいうな!」と一蹴されるはずだからです。もちろんそれが正論ですが。

上司Bさん「・・・俺もだよ・・・」

えーーーーーーー!言っちゃった!まさかの展開です。

Aさん「そうでしたか!Bさんもそう思っているなんて・・安心しました。」
安心したんだ!

そこからは、お互いに、どうして得意先が嫌いなのか、この仕事の何が辛いのか、
なんだかちょっと嬉しそうに話し始めました。

「めっちゃわくわくする1年後の自分の姿」がようやく出る

一段落した頃、
私「Aさんが、めっちゃわくわくする1年後の姿ってなんですか?」

少し考えて、Aさん
「理想でいいですか?叶うかわからないけど・・・
 得意先を訪問するのがめっちゃ楽しくなっていたいです!
 もちろん数字は数字でやるとして。」

上司Bさん
「そうだよな!毎日、楽しそうにあそこに通えたらいいよな。」

そして、Aさん、上司Bさん、私も時々混じって
「どうしたら、1年後に、わくわくしながら得意先に通えるか?」
についてアイディア出しをしました。

「今日はめっちゃ楽しかったです。」
と言って帰っていったAさん。

対話とはこういうことだな、と私自身もわかりました。
正論を振りかざしたり、怒ったり、「・・・・すべきだ」などと一般論を言うのではなく、
自分がどう感じているのか、自分を主語にした話がお互いできること。

今、Aさんと上司Bさんは、そのためのアイディアを実行に移しています。
次回が楽しみ。わくわく。