仕事がら、研修に参加する部長や課長など、30代後半から50代後半までのマネジャー職(主に男性)およびその部下と接することが多くあります。(弊社の研修はマネジャーと部下が一緒に参加するスタイルが多いため)

部門長や部長や課長など、マネジャーの方々に、
「今のあなたの部門をどんなチームにしたいですか」というと、よく出てくるのが

「自立自走する組織(チーム)」

という言葉です。

私はこの言葉を聞くと、「またか・・・!」とうなだれて苦笑し、すぐに「確かに若い人が育たなかったらそう思うよなー」と気を取り直します。

そんなマネジャーの部下に「どんな人になりたいですか?」と聞くと

「自立自走する人になりたいです!」

ここでも「またか・・・!」とうなだれ、苦笑し、「上司が言ってるんだからそうなるよなー」と気を取り直します。

「自立自走する組織」素晴らしいです!
そんな組織を作ることに誰も反対しません。

でも「自立自走する組織にするぞ!」とマネジャーが言っている限り、自立自走する組織にはどうやらならないように思っています。

理由はこんなことではないでしょうか。

「自立自走」というワードがビッグワードすぎて、具体的に誰がどうなっているチームを目指しているのかイメージできない

よって、具体的な行動の変化につながらない

「自立自走」の具体的なイメージが各自違っているため、結局みんなの思う「自立自走」にならない

若手に、自分の意見をどんどん発言し周りを巻き込んで仕事を進めて欲しいと思い「自立自走」と言っても、若手は「自分一人で考えろ」と言われているのだと思い、誰にも相談もせず黙々と考え込んでしまう、などそれぞれの捉え方が違う

「自立自走」というワードに対して誰も反対できないので、反論も出ないし議論にもならない

マネジャーがミーティングで「自立自走するチームにするぞ!」と言い、メンバーは真剣にうなづくばかり。自分の何をどう変えるのかわからないままミーティングは終了、席に戻れば仕事に追われ忘れて結果的にスルー。

「自立自走」は思考停止ワードとも言えます。

他にも似たような思考停止ワードはあります。

「自発的に動け」「自分ごとで考えろ」「コミュニケーションを増やそう」「もっと情報共有しよう」・・・

すべて、誰が何をどうするのか全くわからない、人によって捉え方が異なる、かつ、聞こえのよい言葉。

この手の言葉、私も頻繁に使ってきましたし、今でも一緒に仕事をするメンバーに対してつい使いたくなることがありますが・・・でもそれは、もれなく誰の行動変化につながず。頭痛。

マネジャーになり、立場が上になればなるほど言葉はビッグワードになり、どんどん具体的なイメージが見えなくなってきます。

研修で私が
「自立自走はNGワードですよ!」
「自立自走した姿をもっと具体的に別の言葉で説明してくださーい!」
と何度叫んでも、
スライドに何度うつしても、
研修後にメールで何度発信しても、
優秀と言われる大企業のマネジャーすらできないことが多いです。

というより、 優秀と言われるマネジャー「だから」できないのかもしれないと最近は思います。

いつも短い言葉で「上に報告」することに慣れ、それがコミュニケーションのクセになっているようです。

「具体的に、とは、そうなった姿を映画を見ているかのようにイメージして、それを5W1Hで説明することです。たとえば・・・・」

と言って、ようやく、少しずつ。でもすぐにまた元に戻ってしまいます。

半年後に、Aさんが新人に仕事を引き継げる状態になっていて、Bさんが「この仕事は僕に任せてください!」と発言をするようになって、Cさんが一人で商談に行けるようになって・・・

半年後のなになに会議では全員が自分の意見が言えるようになっている。そしてその後の打ち上げでは、全員が、次の半年に挑戦したいことを嬉しそうに話してくれる。これこそが、我がほにゃらら部の半年後の自立自走の姿である!

こんな風に表現できて始めてスタートラインに立ったと言えると思います。
(ここからも難関はいろいろありますが)

具体的に表現をしてみると、違う意見が出てくることもあるかもしれません。が、そこから対話を重ねることでお互いの理解と、実際の行動につながって組織が変わっていきます。

できるマネジャーほど難しい「ビッグワード禁止で、組織の姿を5W1Hで具体的に考える」

これが自分の組織を変えていく上でめちゃくちゃ大事なポイントだと思います。