労務行政研究所にて開催された、
立教大学教授中原淳先生と、パーソル総研小林研究員による「希望の残業学」セミナーへ。
不思議なタイトル「希望の残業学」ってなんだろう???と思って参加してきました。
「なぜ残業が発生するのか?」の大調査に加え、
「残業を適切に削減するには?の大調査もあり、そこに希望が見える、っていうことのようですが
外科的で即効性のある「手術」だけでなく、
「漢方」のようなじわじわ効いていく職場ぐるみの改革が必要というお話で
決して近道はない
ぱーっと派手な施策を打ち出すだけでなく(これありがち!!!)
忍耐力をもって長期的に取り組める会社が解決できる問題なんだと感じました。
残業は深刻かつ根強い「病気」?!
以下、内容をかんたんに。
約10,000人の働く個人を調査した結果(会社を通さず個人に直接。本音で答えられる。)、以下のことがわかったそうです。
-
残業は
- 集中する
- 感染する
- 麻痺する
- 遺伝する
この言葉だけで、もう、ぞぞっ。
残業は、人の感覚を麻痺させ、横に広がるだけでなく、すでに相当の時間をかけて組織に蔓延している病気なんだ、っていう認識が必要ってこと?!
もう少し説明すると
- 残業はできる人に「集中」する
- 帰りにくい雰囲気がうまれると周りも残業するようになり「感染」する。若い人ほどよく感染する。
- 残業が月60時間を超えると一種のフロー状態になり幸せを感じるが、精神や肉体には確実に悪化。それでも仕事がしたいと思ってしまう「麻痺」状態に陥る。
- 若いころ残業が多かった人が上司になると、その部下の残業が増え「遺伝」する。
これが調査からの数字で示されたことに驚きつつ、なんとなく経験からわかってしまうのが余計に怖いところ。
あの人が上司の部署は残業が多かったわ、とか、あの頃私はフロー状態でやばかったわ、とか。
残業削減に個人の努力は効かない
さらに驚いたのは
「タイムマネジメント」など個人の努力でできることはほぼない、ということがわかったということ。
つまり
残業削減し生産性を上げるために「タイムマネジメント講座」を受講しましょう。
というのは全くのナンセンスだと。
じゃ、どうしたらいいのかのヒントもありました。
大事なのは組織ぐるみ・職場ぐるみで対応、ということで、これには
マネジメントの視点と、組織開発の視点があるそうです。
(ちなみにこの日は、マネジメントの視点のみで組織開発の視点の説明はなし。懇親会で小林研究員に質問をして、ふたつの視点があることを教えていただきました。)
となると私の得意分でもあり、
「やっぱり、組織の問題を解決するのに近道はないってことね。根本的で長期的な体質改善よね。」と深くうなづきながら帰ってきました。
秋に発売されるこのテーマの本も楽しみ!
しかし、この研究のために残業しまくっているというお二人の話に苦笑。やっぱり近道はない。