昨年12月、聴覚に障害のある松山さんが、夢であったバス運転士になりました。

松山さんは、補聴器を使えば音が聞こえる「感音性難聴」。
2016年に運転免許制度が改正され、補聴器をつけてある一定の音が聞こえればバス運転士に必要な第二種運転免許が取得可能となりました。

それまではトラック運転士だった松山さん。
(トラック運転士には、それまでもなれたのですね!)

憧れだったバス運転士になろうと就職活動をしますが、なかなか合格しません。そこで、自分がどうしてバス運転士になりたいのか、その熱い想いを社長に訴え続け、社長も大決断。

全国初、ろう者のバス運転士の誕生です!

うまく会話のできない松山さんのために、緊急時に備え、もう一人の補助運転士が乗車することとし、松山さんはバスを運転できることとなりました。
ろう者の運転士、松山さん
現在は羽田空港のリムジンバス(この記事の時には赤羽ー羽田)に乗っていらっしゃるようです。

と、ここまでだけでも、十分にいろいろと学びのあるお話なのですが、私が「なるほどー!」と思ったのは、ここからのお話。

バス運転士になってからも、松山さんには大きな壁がありました。

それは、

お客様とのコミュニケーションがうまくとれない!

ということでした。

バス運転士になって、お客様を笑顔にしたい!という想いの強かった松山さん。会話の発音がうまくできないため、なかなかうまくお客様に感謝の気持ちを伝えられないことに悩んでいました。

そこで、ずっとお世話になっていた、同じ障害を持つ理容師の男性に、悩みを打ち明け、相談するのですが、そこで受けたアドバイスが

自然な笑顔と
少しオーバーなジェスチャーを心がけること

ということ。

私はここが、健常者である私たちにも十分参考になると思ったのです!!!

松山さんは、お客様に絵顔になってもらおうと必死に笑っていました。

「最初からそんな笑顔だとかえってひかれてしまうよ。自然な笑顔をしよう。」

とアドバイスを受けます。

そして、お客様がバスを降りる時に、自然な笑顔で、ジェスチャーは少し大げさにして「ありがとうございます」と伝えてみることに。

すると、お客様の反応が明らかに変わってきたといいます。

実際に乗車されたお客様にインタビューをしてみると
「とっても笑顔が素敵でした。」
「障害があってもがんばっていらっしゃって、嬉しかったです。」
との声。

ああ、やっぱりな、と思いました。

いま、いくつかの企業で、現場の上司の方々に、部下の育成のための面談(1on1ミーティング)手法を教えています。

いわゆる「コーチング」に近いもので
「傾聴の仕方」「質問」「フィードバック」などのスキルを教えていきます。

その際に、いかに「非言語コミュニケーション」(たとえば、笑顔などの表情、ジェスチャー、体の向きなど)が大事かをお伝えするのですが、

人間、「言葉」が話せると、どうしてもそこに頼ってしまい、なかなかこの表情やジェスチャーなどの大切さに気づかないのです。

言葉ではいいことを言っていても顔は不機嫌、目を合わせない、貧乏ゆすりなどのクセ・・・
ついつい話を遮る、求めてもいないアドバイスや意見を言う・・・
コーチングを学べば学ぶほど使ってしまう「凝った」質問のスキル・・・

まずは自然な笑顔で、ゆったり構えて、うんうんと大きくうなづいてほしいのになーと思うことがしばしば。

それだけで「 そうか、そう思っているんだね、もっと話していいよ。」というサインになって、人は安心し、相手に与える印象も、信頼関係も、そして結果、話してくれる情報量が全然変わるのにな、と思うのに、なかなかうまく伝わらずにいつも苦労しています。

何も話さなくても、自然な笑顔と、少しだけオーバーなジェスチャー、これだけでも十分にお客様に安心や信頼、そして感謝の気持ちは伝わる、

そんなことを松山さんの話から改めて感じさせられました。

言葉よりも、今日は「自然な笑顔」と「いつもよりちょっとオーバーなジェスチャー」を大切に。

ピンときた方、今日1日、やってみてくださーい。私もやろっと。