ロボットは東大に入れるか?の研究をしている新井紀子氏の著書「AI vs, 教科書が読めない子どもたち」を読みました。

本屋で何気なく手に取り、無性に気になって購入。読み終わって、「これはまずいぞ」と思いました。

シンギュラリティは来ない、AIが東大入試に合格することもない

シンギュラリティは来ない。
著者はこう断言します。
シンギュラリティ:AIが人間の知性を超えることにより人間の生活に大きな影響を与えるという概念

「AIはコンピューター。コンピューターは計算機。計算機なので、論理・確率・統計しかできない。だから計算できること以外のことはできない。」

そこはわかるけれど、でも、膨大の量の計算をしたら、いろんなことがわかるのでは???

ところが、コンピューターには
「私はあなたが好き」と「私は本が好き」の根本的な違いはわからないのだと言います。

また、「おいしいイタリア料理店」は検索できても「おいしくないイタリア料理店」は検索できないのだとか!(このあたりの説明はうまくできないので本をお読みください!)

人間ならばすぐにわかる簡単な文章を、コンピューターが判断できるようになるために覚えさせるための「教師データ」は、1億や10億の単位ではないと言います。

それが専門的な文章になったら全くのお手上げ。

だからシンギュラリティはこないし、たとえば、東大の試験に合格できる道筋もまったくみえていないのだそうです。

今の子どもは教科書すらまともに読めていない?

では、人間がAIに仕事を奪われることはないのか、というと、そうではないと言います。

それは、今の子どもたちの読解力がコンピューター並みだから。それを、膨大な調査から解き明かしています。

たとえば、こんな問題の正答率が「えんぴつを転がして正解するのと同じレベル」だそうです。

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「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」

この文脈において、次のうち、あてはまるものをひとつ選べ。

Alexandraの愛称は(   )である。
①Alex ②Alexander ③男性 ④女性
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こんなかんたんな問題がなぜ解けないかというと
・「愛称」という言葉を知らないので読み飛ばしている
ということが主な原因だそうです。

数学で解けることは人間よりもずっと得意、でも、読解力が乏しいAIに対して、その読解力で人間が差別化すべきところ、今のこどもたちの読解力は「教科書すらまともに読めていない」という状況なのです。

今の子どもたちの読解力がなぜ低いのか

ではなぜ今の子どもたちの読解力が低いかというと、理由はいろいろ考えられるそうです。

・(さきほどの例のように)知らない言葉を読み飛ばすから
・集中力がないから
・ひとつの事から他のことを想像できないから
(たとえば、「エベレストは世界一高い」から「富士山は世界一高い山ではない」を想像できない)

などなど。
理由がそれぞれなので、対策もそれぞれ。なので、「これさえやれば読解力がつく」というひとつの方策があるわけでないのです。

アクションラーニングよりも英語よりも大切なもの

この状態で、アクションラーニングなどを取り入れても無駄だと著者は言い切ります。

確かに・・・・!

読解力のない状態で、対話や議論などがきちんと行えるはずもなく。
そもそも、教科書すらまともに読めずに基本的な知識も持っておらず、ひとつのことから他のことを想像する力がなく、相手の言っていることが理解できていないのですから。

アクションラーニングより英語教育より大事なものについて、本当に考えさせられました。
そして、今私のやっている企業での人材育成・研修が、そのうち通用しなくなる日も来るのでは、と、大変な危惧を感じました。

今の自分にできることはなんだろう・・・?
もやもやしたまま今日は終わります。