前回の続き、平成最後のブログです。かなり長文、かつ、まだ私の頭も整理できていない部分もありますが、あえて、平成最後に問いかけてみたいと思い、公開します!

前回は
女性営業がライフイベントを乗り越えられずに退職してしまう、
女性営業がマネジャーになりたがらない、
女性営業のモチベーションが低い、

だから女性営業を何とかして、という要望に対して、私がワークショップでやっていることを書きました。ワークショップを通じて、営業という仕事のやりがいに気づいてモチベーションを少なくとも一時的には上げることができる、ということがわかっていただけたかと思います。

でも問題の本質は他のところにあります。

根底にある悩みは「この先のキャリアが見えない」こと

前回、彼女たちの悩みのうち、ひとつをまだお伝えしていませんでした。それは「これからのキャリアが見えない」というものです。というと、多くの人は「キャリア教育をやればいいのでは?」と思うと思います。

しかし「キャリアが見えない」ということがどういうことなのか、なぜキャリアが見えないのか、その本質に迫っていかないと何も問題は見えてきません。

話を聞いていくと、その理由は大きく4つに分かれるように思います。また以下の4つは全く別々のものではなく、それぞれ関連をしているものだと思ってお読みください。

一つ目は、ロールモデルがいない、自分の目指す姿が分からない、など自分自身の意識の部分で、キャリア教育に関わる部分です。私は、前回説明したワークショップに加え、ロールモデルって何?とか、自分の目指す姿は?といったことを追加し、この部分にも光を当てるようにしています。

二つ目は、上司が女性が営業をすることに理解がない、上司が女性の育成をしていない、支社・支店に女性が少なくて相談相手がいない、といった職場の問題です。多くの女性が受けているにもか関わらず、相談できないセクハラの問題も含まれます。これは、上司に対する研修や、上司や他のチームメンバーとの関係性を変える、専門用語でいうと組織開発的アプローチをすることで解決ができる可能性の高い部分です。弊社は、この点についても一部の会社でともに取り組ませていただいていますが、
この二つ目の影響を一つ目の問題も強く受けますので重要だと思っています。

そして今日しっかり述べたいのは下記の2つについてです。

営業の仕事で成長実感が得られる工夫を

三つ目は、営業の仕事を通して自分が成長していると思えず、今後もこの仕事で成長できるのかわからない、という成長実感の部分で、これは営業部門全体の問題となります。
男女関わらず、特に今の若い人は「自分の成長」を強く意識しています。これは一つ目の個人の意識の問題もありますが、会社における営業の位置付けの問題の方が大きいでしょう。

営業の仕事を通して得られるもの・能力はたくさんあると思います。
コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、情報収集力、発想力、最後まで諦めない力、社外の人脈・・・

では、あなたの会社では、「営業の仕事を通してどんな能力が得られるのか」ということが具体的に明確になっているでしょうか。
また一人一人の営業に対して「期待されるものに対して今何ができていて、今後の成長課題は何か」が明確になっているでしょうか。(二つめの上司の問題とも関連します)
ただ単に、数字を上げることだけを求めていないでしょうか。
「靴をすり減らして何度でも訪問するのが営業だ。」のような精神論を振りかざしたり、ただ漠然と「営業を経験することは大事だ」と伝えたりしてはいないでしょうか。

もちろんこの問題は営業以外の仕事でも同様だと思います。ただ私が見る限り、スタッフ部門、特に花形と言われる部署などでは「この部署で求められる(得られる)能力・スキル・マインド」が比較的明確になっているような気がします。あくまでも私の経験上ですので違うかも知れません。

東京や大阪などの大都市を除けばそう簡単に売上が上がる状況ではない今こそ、この会社で営業を経験すると、どう成長できるか、またここで得たものを活かしたら、この会社で次はどんなことができるようになるのか、ということを明確にしなければ、女性だけでなく男性も、営業で成長実感を得られず、会社を去る人が多く出てくるのではないでしょうか。

全国どこでも転勤モデルの終焉

ここからは、全国に支社・支店・営業所がある大企業の話になります。
最後4つ目は、「転勤」にまつわるもの、つまり日本型雇用システムについてです。(どんどん内容が重くなってしまいました・・。)

転勤したくない、希望の地で勤務したい、営業を極めたいという気持ちもあるが次にどこに転勤になるか分からないのでは家庭が持てない、だから本社(東京や大阪)勤務がいい、などなど。もちろんこれも営業部門だけの問題ではありませんが、何と言っても営業が一番転勤が多いわけで、特に地方に勤務する女性営業にとっては深刻な悩みです。

学生時代の彼と遠距離恋愛を続けているけれど、この先どうなるんだろう?
今の勤務地で彼ができたできたけど、この先、お互いに転勤族では家庭が持てない・・・

そして、このような悩みを、今後は若手男性も確実に持つようになるはずです。

今や共働きは当たり前の時代。そんな時に、お互いに転勤していては家庭は成り立ちませんし、家庭を持つ予定のない人でも「転勤はキャリアアップに繋がるのか?」ということに対して疑問を持つ声も出てきています。(三つ目の成長実感とも関係してきます)。

希望でない土地に行ってもらうなら、なぜそこに赴いてもらうのか、そこに行ったら何を得られてその後どうつながるのか、いつごろ戻れるのか、ということを会社側が明示できるかどうか・・・。これはかなり難しい問題です。

ちなみに、ある会社の人事部長に聞いてみたところ
「まさにここ1-2年で、転勤を理由に退職する営業の若手男性がチラホラ出てきた。」
とおっしゃっていました。やっぱり!

また別の、ある大企業の関連会社の役員の方は、
「給料が下がっても転勤のない会社がいいといって転職する男性社員がでてびっくりした。」
ということでした。

下記は、昨年2018年10月30日から11月8日まで、日経新聞で連載されていた神戸大学准教授服部康宏氏の「働き方の多様化と心理的契約」からの抜粋です。

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日本企業の正社員は、採用時点で将来の勤務地や従事する職務内容を明確にすることがなく、残業を許容することが社員側の義務として認識されてきました。会社側に広範な人事権が付与されており、転勤や職務変更などを命じられた時、原則的に社員側には断る権利がありませんでした。
こうした「無限定性」は会社が提供する長期雇用とそれによるキャリアの安定性の対価として、社員が本来抱えているはずの「制約」を放棄することで可能になったものです。勤務地や職務内容、労働時間などの無限定性は、社員がそれらの制約を抱えていないからではなく、そうした制約を社員やその家族が吸収することによって可能になった側面があります。
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そして、多様な人が組織に流入してくる時代に、この日本型雇用のシステムの変換が求められている、と続きます。ではどうしたらいいのか?という答えはまだ見つかっていません。私もわかりません。

残業削減については、少しずつ取り組む企業が出てきています。が、勤務地の問題についてはどうでしょうか。なんとなくわかっていながら後回しになっているような気がします。

「転勤したくないから辞める」「希望の地で勤務したいから辞める」社員を、身勝手だということができない時代にもう入ります。このことの答えをいち早く出した企業が令和を生き残れる、と私は本当にそう思っています。

この多様性の時代に、女性営業の声に耳を傾け、その本質を探ることは、これからの企業のあり方を考えることにつながる貴重なものだと感じます。

「女性は営業に向いてない」「やる気がない」「使いにくい」などと言わずにしっかり向き合っていきたいものです。女性が営業に向いてないのではなく、そもそも社会・会社のしくみが多様性の時代に合っていないのです。

ああ、なんだか壮大な内容になってしまった・・・まとまってもいないし、答えもない。きっと、令和ではこの問題に私も関わっていくような気がしています。

さあ、明日から令和。新たなチャレンジを。