新年明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。さて、皆さんはどのように新年を迎えられましたでしょうか。

私は年始にバイオリンの弦を張り替え、さらに弓も新しいものに買い替えて心機一転。良い気持ちです。

ところで、弓を買い替える過程で、私はいろんなことを考えさせられることとなりました。今日はそのお話。

バイオリンの弓は本体と同じくらい大事!

意外と知らない方が多いのですが、基本的に、バイオリンの「本体」と弓は別に売買されています。

よく世間では、有名人がバイオリンの名器ストラディバリウスを○億円で購入、などと騒がれますが、億を超えるバイオリンならば数千万の弓を使うことになるのだろうと思います。バイオリン「本体」の上限の価格はストラディなどで数億円、弓なら4−5千万円が上限価格帯だからです。

では、本体に釣り合う弓の価格は本体より安いのかというとそういう単純なことでもなくて、バイオリン(本体)が100万くらいならば、使う弓は50万から上はいくらでも良い、つまり良い弓ならばやっぱりいいそれだけのいい音が出る、とだそうですから不思議な世界です。さすがに1万円のバイオリンに数千万の弓を使う人はいないですが。

その弓を選んで買うにあたり、ちょっと考えてしまうことがありました。これって、人の成長にあてはめるとどうなるのかな?っていうこと。

その前に、つまらん話で恐縮ですが、私のバイオリン歴と、バイオリン本体・弓の変遷について簡単に。

幼少期から高校生までバイオリンを習っていました。10年以上毎日練習しましたが、同じ年齢から始めた人と比べると技術もセンスもなくて辛い思い出ばかり。辞めてからは2度と弾くもんかと思っていましたが、5年前「今度は楽しく弾こう!」と思って再開しました。

昔使っていた楽器は処分していたので、再開当初は知人から譲り受けた初心者向け格安バイオリンと弓を使いました。その音は鼻声みたいで、弓は「棒切れ同然」と言われましたが全くこれで問題ない、と思っていました。

バイオリンを替える→弓を替えるの無限ループ?!

2年ほど経って以前の感覚が戻り始めた頃、先生から「弓を変えたもう少しいい音が出ますよ。」と言われて買い換えることに。予算はかなり抑えてそれでも5万円(!)。その値段にしてはかなり良いものを先生が見つけてくれて音も良くなり満足していました。

それから1年、先生から「バイオリン(本体)を変えませんか?今の楽器だとこれ以上の上達が難しいです・・・。」と。散々迷った挙句、バイオリン(本体)をこの時点で買い換えました。
するとそのバイオリンに合わせるように左手の指がよく動き、どんどん上達して大満足。この時点でちょっと不思議でしたが、流石に初心者向けの楽器を使っていたのでまあそういうものだろう、くらいに思っていました。

またそれから2年、またしても先生から「弓を変えた方が・・・」というアドバイス。おいおいっ。今度はまたそっちかい、いつまで続くんかい!と思い、断り続けいていました。

いい道具を知らないと見えない世界

ある時、先生の使っている弓(もちろん私のよりずーっといい弓)を使わせてもらう機会がありました。

当たり前ですが、いい音色でした。
ですが、驚いたのは音のことより弓を持つ私の右手の動きが全く変わったことでした。先生の弓を使った時間は3分程度です。その3分で私が変わった、ということなのです。弓を支える指がとても楽に動き、肘や肩の動きもスムーズ。これまで変なところに変な力が入っていたことが自分でもはっきりとわかります。

そしてさらに驚いたのは先生に弓を返したその後です!
自分の弓に戻して弾いたら、何が起こったと思います?????

私の手の動き、弓の使い方が変わっており、「良い弓を使った時の手の動きを記憶していて」以前よりずっと楽に、前より良い音がでたのです。つまり、良い習慣が身についたということ!

そんな体験をして、
「いい楽器、いい道具を使わないと上達しないんだな。」と心の底から納得し、買い換えることにしました。弓を替えたらパガニーニ(超絶技法で知られる作曲家。演奏家でもある)も弾けるようになりますよー、が殺し文句でした。まあ私には無理ですが。
(ちなみに買い換える時には、それまで使っていた本体も弓も良いものはそれなりの価格で下取りしてもらえます。価格が上がることもあり、それゆえに資産なのです。)

弓選びで人生と向き合うことに

とはいえ、今回の弓選びはとても大変でした。当然以前より高価なものになってきます。
良い弓って?自分に合うものは?予算は?あと何年バイオリンをやる?何を弾きたい?バイオリンを弾くことで自分はどうなりたい?私は何を目指してる?
いろんな弓を試しながら自分とも向き合うことにもなり、1ヶ月かかって納得の1本を。

楽器屋さんからも「この弓なら、次にもっといいバイオリンに買い替えても十分対応できますから!」と太鼓判。って、もう買い替えはいいわ!

そして、「この経験から私は何を学ぶのだろう?」と考えることしきり。
皆さんはどう思いますか?この話が人の成長や人生にあてはまる話なのかどうか。

いい弓を使うと自分の手の動きが変わり、余計な力も入らなくなって、いい音が出て、上達もする。
それが習慣になれば、よくない弓を使っても良い動きを手が覚えていていい音が出せるようになる。

じゃあ、初心者向けのもの、5万円のまあまあの弓、と段階を踏まずに、最初から良い弓を使えばもっと上達したんだろうか?
そうかもしれない。それが最初からできるならそれに越したことはないだろう。

でも、初心者の時はその価値はわからないし、お金もかけようとは思わない。
徐々にレベルアップして価値がわかるようになり、それに合わせてバイオリン本体や弓を買い換えていくというので十分なのではないか。

悩み、向き合い、自分のレベルを上げていくことが大事

そして私が思ったのはこんなこと。

・良い仕事をしようと思ったらやっぱりプロが使うような道具を使ってみるべし。一流の道具で人は変わる。
というような、使うモノへのこだわりへの応用。

・良い人間と付き合うべし。良い環境に身を置くべし。
・できたら子供の頃から。でも大人になってからでも構わない。成長とともに、で良い。とはいえ、良い人間って?
というような、付き合う人、環境への応用。

特に後者は深いテーマだなと思いました。
もちろん、幼いうちから素晴らしい人、素晴らしい環境(って何?は置いといて)に囲まれる人生もいいけれど、そんなことできるわけなく、もしそんなことができたとしてもその価値にその時は気づかないでしょう。

私が「良い弓選び」に悩んだように、
いろんな人と付き合い、悩みながら、自分の人間としてのレベルを上げていき、自分はどんな人生を送りたいのか、自分と向き合い、そしてようやく、誰とどんな風に付き合うのか、どんな関係でいたいのかがわかる。

でもまた人生のステージが変わったり、人として成長していくとそれもまた変わっていくのかも知れない・・・。

バイオリンの場合は成長(上達)度合いがわかりやすく直線的に「値段」として上がっていくけれど、人の人生は一体・・・?

そんなことを新年から考えました。

で、さらにバイオリンが上達したらやっぱりまた先生から「バイオリン変えた方が・・・、」って言われるのかな・・・うーん。

ああでも、それほど上達してそこで悩めるならそれもまた幸せな人生ということか!

みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。