緊急事態宣言が出てから2週間。このコロナ禍において、こんな分断が起こっているように思っています。
「リモートワークできる環境にある人」VS「リモートワークできる環境にない人」
「経済的な影響が(まだ)出ていない人」VS「経済的な影響が深刻な人」

そして
「リモートワークできる環境にある人」=「経済的な影響が出てない人」=大企業の人=上級国民
みたいな構図で理解され、(そんな単純じゃないのに・・・!)「お前らリモートワークできてお気楽だよな!」「こっちはそのせいで潰れるんだ!」と叩いている人も少なからずいるようです。

リモートワークしている人だっていろんな苦労もあるし、そうするしかできないからやっているし、(医療機関や物流・小売の方々に感謝してるし、飲食店など大変な状況の人に思いを寄せているはずだし)と思い、この内容で書くことにしました。

超零細企業の弊社は、2月中旬からリモートワークに完全に舵を切りました。弊社側から「打ち合わせはオンラインでやりましょう!」「研修もオンライン化しましょう!」と提案し、クライアントとともに新しい取り組みへの模索を続けています。お気楽どころか存続をかけて考えた結果がリモートへの対応。リモートワーク=大企業=お気楽、ではありません。独立した同業の仲間はみな同じ状況です。

一方で、大企業はどうか。
弊社のクライアントは大企業が多いですが、大企業だってリモートワークを楽にやっているわけではないです。システム的にリモートワークの環境が整っているからといって「はい、明日からリモートね!」と言われてすぐに対応できるわけではなく、その点が大きな組織の大変なところだと思っています。

「コロナにかからない、うつさない」ために、様々な部門に働きかけ、場合によっては上司や経営陣と戦い、業務のやり方を変え、必要な物品を買い、危険を冒して出社し、残業残業で必死の想いでリモートワークができる環境を整えてくれている人がいたりします。

また、社員が多い大企業では、コロナにかかった社員が一人以上出ていることも多く、社員の命を守るため管理職ではないメンバーは自宅勤務となり、「マネジャーの自分は出社してリモートワークを可能とするための業務の整理を全部やり、自分がやっと自宅勤務できるようになった時にはヘナヘナになってしまった・・・。」そんな苦労も聞いています。

ということで、大企業で、具体的にどんな苦労があったか。ZOOM飲みしながらリモートワークを推進した人々にヒアリングした話を簡単にまとめてみました。
その苦労には、大きく分けて4つあるようです。

  1. 上が決めない、上がリモートワークの必要性を理解しない
  2. 部下がリモートワークの必要性を理解しない
  3. すぐにリモート対応できない業務がある
  4. オンラインでのチーム内のコミュニケーションが難しい

では順を追って。

1.上が決めない、上がモートワークの必要性を理解しない

「とにかく部長がリモートワークに移行することをいつまで経っても決断しないので、あらゆる手を使って説得。ほとんど戦いでした。」

「全社の指示を待っていたらいつになるか分からないので、うちだけ先行で実験的にやらせてくれとお願いした。」

ああ、日本企業って・・・。
よくある「上」の反応としては以下。

「まだ大丈夫じゃない?緊急事態宣言出てないし、社長からも何もおりてこないから・・・」
:決断の先延ばし、過剰な忖度(緊急事態宣言が出る前はこれが多い)
「リモートで仕事ができるわけがない」
:リモートワークへのアレルギー反応(やったことがないのに言う)
「家でやったらサボるやつが出る!」
:部下への不信(サボる奴はリアルでもとっくにサボっとるわ)
「仕事はface to faceが基本だろ」
:強固な「仕事はこうあるべき」論(営業部門ヒラメ筋強化推進派などによくみられる)

*「上」には、経営陣、中間管理職、子会社に対する親会社も含まれます。

2.メンバー・部下がリモートワークの必要性を理解しない

やっと上が理解したと思ったら今度は・・・。私はメンバーはすぐに理解して協力するかと思っていたので、これは盲点でした。全員ではないものの、少なからず抵抗があったそうです。

「リモートワークに移行する旨メールで全員に発信した後、メンバーそれぞれの仕事や家庭の環境からいろんな意見が上がってきた。一人ひとりに納得してもらうための説明が本当に大変で、なんでなかなかわかってもらえないのか・・・と消耗した。」

「『時代は変わった。命を守るため、そして事業の存続のために仕事の仕方を変えることに協力して欲しい。』と伝えた。」

「リモートは嫌だという派遣の方がいたが、直接交渉できないので、派遣会社に説得を依頼した。何が嫌で、どう説得したのかはわからない。難航したが、3月末、緊急事態宣言が出そうだという状況になった時には、派遣会社も説得しやすくなったと協力してくれてうまくいった。」

大変ですね・・・。

「私の仕事はリモートではできません。」
:業務の中身の問題(大抵は工夫すれば何とかなるがどうしてもできないことも残る)
「家では仕事ができません。」
:プライベートの問題(複雑な家庭の事情で言えない、などセンシティブな部分も)

推論として、「家では仕事ができない」の中には、一人暮らしで部屋が狭く仕事に適さない、同居人が実はいてオンラインでは映ってしまったり声が聞こえたりしてしまう、のようなこともあるのではないかということでした。リモートワークになると良くも悪くも仕事とプライベートが「接続」してしまうため、オープンにしたくない理由がある人には深刻かも。

一人ひとりの状況が違うことを改めて考えさせられました。コロナ後には「なるべくリモートでできる仕事がいい」「リモートワークさせない会社に変わりたい」などいろんな人が出てきそうです。

3.すぐにリモート対応できない業務がある

「経理伝票がいまだにペーパーレスになっていなくてハンコが必要で。今の時期だけルールを変えるため、経理など必要な部署との調整をしました。結果的に、今までできていなかったペーパーレス化を推進することになったので良かったですけどね。今回のような危機でなければ誰もやらなかったかも。」

「うちの得意先は小さな会社が多くてFAXでの注文が多くて。注文方法を変えてもらうのは無理なので、FAXをPDFできるプリンターを買って社員の家に送りました。」

「コンビニプリントで資料をプリントアウトするルールを決めて徹底しました。」

「とにかく”家では仕事ができない理由“をひとつずつつぶしていきました。派遣の方の仕事の方が細かくて対応に苦労しました。」

「結局、月に1回、後付けでまとめてハンコを押すためにマネジャーは出社しています。」

業務としては受発注関連と請求支払い関連が多く、家にプリンターがない問題も意外と大きいことがわかります。また、「ペーパーレス化」って簡単に言ってるけれど、100年に1度の危機が迫らないとできないものなんだ・・・というビックリな気づきもありました。

気になることとして、営業がなかなかリモートワークに対応できない中、「営業ってこんなに人数いらないかもしれない・・・。」「リモートで(無駄な移動時間や待ち時間をなくして)効率的に営業できる人がいい」という衝撃的な意見も。やはり・・・!ちょっと予想はしていたものの、本当にこれからそういう流れになるのか注視していきたいと思います。

さて、こうやって苦労して全員がリモートワークできるようになると、今度はこれです。

4.オンラインでのチーム内のコミュニケーションが難しい

これはこれで、すっごく大きなテーマですので詳細はまた別の機会として、オンライン会議・オンライン面談の難しさについて挙がってきたものをご紹介します。

「どこを見て話すとまっすぐ見てるように見えるのか、難しい・・・」
(→慣れます)
「用件だけ話してすぐ終わっちゃうからなんか事務的で冷たい感じになる。」
(→リモートだとより相手の感情に寄り添う話題が必要です)
「画面に顔を出すのを嫌がる人がいてカメラを消すのでちょっと雰囲気が悪くなる・・・」「うちは顔出しを基本ルールとしています。」
(→最初にルールを決める方が良いかも。あとは慣れです)
「画面に映る自分の顔が気になる。暗い顔に見えるので部下が話しにくいんじゃないか。」
(→いろいろやればわかってきます)
「会議で誰が発言しないのかすぐわかる。もっというとリモートになるとアウトプットだけが見えるので仕事してない人がすぐわかる。」
(→これは既に多くの方が指摘しています!単に会社に通ってただけの人がバレる時代。)
「特に一人暮らしのメンバーが孤独にならないように全員の顔を見る朝礼をやったり、個別にコミュニケーションを取るようにしたりしている。やはり顔を見て話すと安心するようだ。」
(→本当にそうですね!)
「嫌な相手と話す時は、顔が正面から向き合うことになりリアルで話すより余計にストレスがたまる。微妙なタイムラグがあったりすると『さっさと答えろよコラ!』とか思ってしまう。気をつけなければ・・・」
→笑!

最後は笑ってしまいました。そういうこともあるんだなーと。

ということで、大企業のリモートワークの苦労話あれこれをまとめてみました。大企業は大きな組織を動かすことが大変で、一人ひとりの意見の調整が大変。私も大企業にいたからこの苦労とストレスは本当によくわかります。また、リモートになるとコミュニケーションの仕方も変えなければならず、さらにいらない仕事や生産性の低い仕事・人がはっきりとわかってしまう世界に入ります。これを機に、会社の体質を変えていこう、悪いところは変えよう、となるといいなと思います。

ただこの大変さは、日本の大半を占める自営業や中小企業の人には理解しがたいものです。大変な中ではありますが、リモートワークができ、給料カットにもなっていないのなら、ぜひ同時に、経済的に困っている人の支援を「わかりやすく目に見える形で」個人としても企業としてもどんどんやっていただきたいのです。夏のボーナスは寄付するぐらい!「リモートできる恵まれた環境にある大企業の奴らのせいで」と分断を生まないために。あなたが動かない代わりに、あなたのお金で経済をしっかり回すために。

大企業の立場も、零細企業の立場もわかる私からのお願いを込めて、今日はこんな内容で書いてみました。みんなでこの危機を乗り切ろう!