5年間、ある研修を行ってきたC社様と、晴れて両者合意のもと、「幸せなお別れ」をいたしました。(なんか離婚発表みたい笑)
5年間かけてプログラムを進化させ続け、この2年ではオンラインにも対応できるようにし、C社様にふさわしい形ができあがって成果も確認できまして、いったん「完成」したためです。
来年以降はC社の人材開発部門の方が講師ができるように、タイムラインやマニュアルを全部作成し、全ての資料と併せて一式納品。そして、お互いにたーっくさんの謝辞を伝えあっての「お別れ」となりました!今後も何かあればいつでも相談に乗る、また、私自身も成長するので「もっとここはこうしたほうが成果が出る」ということが出てきたらいつでも提案させていただく、という形でのお別れであり、永遠のお別れではありません。
このように、外部に依頼していた研修を全て自社内で行うようにすることを「研修内製化」と言います。今回は、研修内製化をもって関係終了、とさせていただきました。
クライアントとの「別れ方」にコンサルタントの能力と本性が出る?!
現在、大学院で「人材開発・組織開発」を学ぶ中で、担当の中原淳教授より、こんなことを教わりました。
コンサルタントの本性と能力が「むき出し」になる「クライアントとの別れ方」!?
以下、中原先生のブログからの引用
コンサルタントは、いつかクライアントと「別れなければ」ならない
クライアントをいかに「支援するか(support)」も大切だが、いかに「支援を解除するか(fade out)」はより重要である
確かに!
コンサルタントは「クライアントを自分漬け」にしてはいけません。
ここで「自分漬け」とは、コンサルタントがクライアントから対価を得続けるために、「自分がいなくては回らない仕組み・仕掛け」をはりめぐらせることを言います。
そういうコンサルは結構いると思う!
一方、もっとも望ましいあり方とは、
クライアントが、自分の組織を、自ら観察し、自ら立て直すことができることであり、独力で、何かを成し遂げることができるようになること
なのだと思います。
はいっ!
もちろん、専門家でないと実行が難しいこともあって、完全に手を離すことができないこともあるけれど、徐々にその範囲を狭め、極力関与を減らしていく努力をすべきです。
っていうか、私もこのことはちゃんと理解しているつもりで、ずっと自分に言い聞かせてきてきました。しかし、それでもやはり、いざ、本当に、お別れすることになると、やはり心が痛みます。「売上が下がる恐怖」もありますが、それより頼られなくなること、自分が必要でなくなることへの寂しさが大きく、気持ちがざわざわしてしまいます。感情が揺さぶられるからこそ「別れ方」には、コンサルタントの本性と能力がむき出しになってしまうのでしょう。そして振り返れば、「失礼だったな」と感じる別れ方をしてしまったクライアントが1社あり、本当に反省。まさに言うは易し、です。
クライアントと別れる時のお土産と心構え
先程のブログの続きです
コンサルタントがクライアントと別れる時には、いくつかのパターンがあるかと思います。端的にいえば、「置き土産」を残して、その場を去るケースが多いのかと思います。
置き土産の残し方には、典型的にはこの4つがあるかと思います。
1. ひとで残す
2. 仕組みで残す
3. ツールで残す
4. 問いを残す
上記の4点について、ひとつひとつ詳しくは述べませんが、今回C社様とお別れするにあたり、私は「3.ツールで残す」をもっとも意識して、マニュアルの整備、研修当日の記録(参加者の様子や進行の記録)、来年以降の検討事項などを全てドキュメントとしてまとめ、納品しました。「来年以降の検討事項」は、もしかすると「4.問いを残す」にあたるかもしれませんね。
そして、一番気をつけたこと。
それは、「別れ間際ほど丁寧な対応をする」ということでした。最後だから、来年以降はお金にならないから、それにもう私は必要ないから、という思いがどこかにあると、悪気はなくてもつい気を抜いてしまいそうになります。そこは逆に、最後になればなるほど担当の方々の密なやりとりをし、来年以降にこれまでの5年間の取り組み内容と思いがつながっていくようにしました。そこにコンサルタントであり講師としての、プロとしての品格が出ると思ったからです。
クライアントとの幸せな別れはお互いの成長につながる
4月30日、無事、全てのドキュメントを納品して、お礼のメールを差し上げたところ、人材開発担当者の方々全員からそれぞれ熱いメールが届きました。
(メールの一部を抜粋、一部、取り組み内容に関する言葉を変更)
マニュアル、当日の記録等、とても丁寧に作成いただきありがとうございました。
また、長きにわたりチームビルディング研修を実施いただき、誠にありがとうございました。毎年様々なアイディアをご提案下さり、研修生が皆、『実施できて良かったです!』と話していたのが印象的でした。
楽しい取り組みの中にたくさんの学びを与えて下さり、その後の研修や業務に活かされていると実感しております。チームビルディング研修を実施してから一週間、研修生同士で色々と工夫して取り組み、日々成長を感じております。
お送りいただいた資料等確認いたしました。
この資料さえあれば誰が研修担当になっても進められるような、細かいところまで気を配られたとても丁寧な資料で感動しました。一緒にお仕事させていただく機会があったことを嬉しく思っております。
研修を進める講師の立場として、研修内容だけでなく、つねに相手目線を忘れない気遣いや事務局への対応、研修後のフォローアップ含め、非常に多くのことを学ばせていただきました。
研修生は、翌日からのグループワークでさっそく研修で学んだこと・自分で頑張ることを心がけているようでした。今後も同じように、研修をうけた相手の行動につながるような良いものを提供できるよう努力してまいりたいと思います。
ありがたくて涙ちょちょぎれる・・・(古っ)。みなさん、あとはたのんます!!!このプログラムを自由に発展させて、ますます御社で良い結果を出していってくださいっ!
私がいなくても、もう、この研修は回ってしまうのね、と、ちょっぴり寂しい思いもありますが、それはクライアントにとって何より素晴らしいこと!
私は笑って手を振って次へ進み、また、新たな道を切り拓こう。そう思いました。
クライアントとの幸せな別れは、クライアントとコンサルを成長させる。本当にそう思いました。なんか、泣ける・・・。